振武館練習ノート(2019.6.27)|練習することは柔道に真摯に向かい合うこと
6月27日(木)稽古内容
指導者 久木田
生徒
- 陽翔
- 大史
- 圭吾
- 敦彦(トレーニング)
準備運動
稽古予備運動
寝技 3分×7本
三人打ち込み 5本×3セット
乱取 2分×4本
ボールキャッチトレーニング
(ボールを左右に転がしてキャッチする)
腹筋
練習することは柔道に真摯に向かい合うこと
先日の学年体重別の県大会に於いて、振武館からは1人3位入賞者がありました。しかし、実力的には互角と思われる優勝者のライバル(Kくん)にここ1年なかなか勝つことができず、忸怩たる思いを抱いておりました。
優勝する生徒とそれ以外の生徒とどのような違いがあるのか、そういう視点でも試合を観戦しておりました。
Kくんは第1シードで2回戦からの出場でした。しかし、相手は5年生出場者トップクラスの体格を誇るKくんよりもさらに一回り大きく、しかもこの一年間の試合で出場経験のない選手でした。Kくんは開始早々に技ありをとられてしまい、後半まで押されっぱなしでした。
残り20秒で「待て」がかかり正直僕は、Kくんが久し振りに負けるんだなと思ってしまいました。「始め!」試合が再開され、組み合った瞬間Kくんが相手の懐に入りこみ一本背負いで担ぎ上げ、相手は畳の上でした。「一本」残り時間僅か15秒の大逆転劇勝利を収めました。
周りが歓喜に包まれているにも関わらず、Kくんは顔色ひとつ変えず、対戦相手に敬意を込めて終わりの礼を行い、下がって試合場を出た後主審の方を向き一礼をして戻りました。
うちの生徒(H)は2回戦、3回戦と順当に勝ち上がって準決勝で左手組手の苦手としている選手との対戦になりました。実力的にはHの方が上だったのですが、対戦相手は玉砕覚悟で声を出し技をかけまくり(掛け逃げのようにみえなくはない)結果、判定で負けてしまいました。
Hは悔しさをにじませながら、礼をしてそそくさと試合場を後にしました。
結果、Kくんが5年生重量級で優勝となりました。他学年の決勝戦も全て観戦してた感想として、
優勝者の所作がとても美しい
という共通点があることに気がつきました。
相手に対しての敬意を込めることはもちろんとこと、審判を務めた先生、観戦に来てくれた父兄に対しても感謝の念が所作のひとつひとつに現れているのではないかと感じました。
そしてそれらの行動や姿勢は、どこから来るものかと考えた時、普段の練習で柔道に真摯に向かい合うことから得られたものなのではないかと考えたのです。
勝利至上主義では絶対に得られないこと
ぼくは今まで、勝負事や何かを成すということは、どの誰よりも勝負に対して貪欲である方が、また思いが強い方が「勝者」として選ばれると考えてきました。
しかし、それだけでは説明できない何かがあるのではないかと感じていたの事実としてありました。
それは実体験として、高校の1年と3年の時にインターハイ団体で優勝した先輩や同級生を間近でみていた感覚で、確かに勝利に対して貪欲ではあったけれども、何かもっとおおらかで心地の良い空気感のようなものがあったことを思い出しています。
練習に関しては30分前には道場に来て、「ガット」と呼んでいた包帯を足首や手首に巻いたり、痛めそうなところにテーピングを施したり、入念に準備をして練習に臨んでいました。
体操一つ、打ち込みも一本一本を確かめるように丁寧に行っていました。練習中も指の使い方から体の動かし方、目線の方向など細部に渡って修正や確認、繰り返し反復練習を行っていました。
監督、先生に指示されることは少なく生徒自らが考えて実践していました。
練習に柔道に真摯に向き合っている姿がそこにあったことを、今思い出しました。
- 一つの物事にたいして、どれだけ丁寧に取り組むことができるか。
- 一つの物事にたいして、あらゆる可能性があるかを考え抜くことができるか。
- 一つの物事にたいして、どれだけ考えて続けることができるか。
これが勝利につながり、何かを成すこととなっていくのではないかと考えるに至りました。
ぼくが目指すもの
ぼくは今のチームを一年後には、日本一のチームにしたいと思っています。
そのために、生徒が自ら考えて自ら行動することが大切であることを稽古毎に伝えています。
自分の意思によってどのように身体が動き、何の目的で今の練習が行われているのかを考えて意味づけできるよう声を掛けています。
そしてなにより柔道を好きになれるよう心を砕いている道中であります!
おわり