伝承-伝えるという事-|振武館練習ノート 2019.9.3
こんにちは、くっきーです。
2人の娘の父親となり、泣いて笑って怒鳴って楽しくにぎやかに毎日を過ごしていますが、しつけとして物事を伝えると言う事は日常の中でありますが、こちらの思いを伝えたり理解してもらうと言う事はとても根気のいる作業だなと子供を通して改めて感じる次第です。
この日も道場へお父さんとお子さんが稽古の見学に来ていました。初めのうちはおとなしくしていたその子も、稽古が進むにつれて
「あれは何をしてるの?」
「あれはどうするの?」
と稽古の様子を熱心にお父さんにたずねてお父さんも、
「寝技の練習だよ!」
「逃げる練習だよ!」
とお父さんの答える声にも熱が入ってきました。親子での寝技の稽古がスタートするのもごく自然な流れで、その光景はとても微笑ましいものでした。
休憩中お父さんに話を伺うと、中学生3年間の部活動で柔道を経験しているとのことでした。
僕の勝手な想像ですが、youtubeや先日の柔道世界選手権をお父さんが楽しそうに、または熱烈応援、もしくは技や組み手や選手のデータなどを解説しながら観戦している様子をその子が見て柔道に興味を持って…
基本やルール、決まり事はとても大切な事なのは間違いありません。それらを伝えることは必要です。しかし、それ以上に大事なことがあります。それは、「楽しさ」「喜び」を伝えることです。これらは掛け値無しに必要なことであります。
しかし、日本ではそれがなおざりになっていると感じざるおえません。それは柔道の競技人口に如実に現れています。
日本での柔道競技人口が約20万人なのに対して、フランスが倍の40万人、ブラジルに至っては200万人といわれ日本の約10倍の柔道競技人口となっています。
その一因として柔道の伝え方にあると考えます。
日本では競技者柔道のイメージが強く、強くなければならない、負けてはいけない、厳しく激しい練習との認識があり、オリンピックでも金メダル以外は負けと同じと発言する選手も少なくありません。
フランス始め欧州では、生涯スポーツとして老若男女問わず柔道愛好家がおり、また柔道療育といって技術の向上ではなく障害の程度に合わせて簡単な柔道の基礎を取り入れながら、体を動かしたり、社会性や礼儀作法を身につけるセラピーが一般的に行われています。日本では残念ながら数例しか行われていません。
ブラジルではまた事情が異なり、貧困対策や犯罪抑止の観点から国や地方自治体が支援しておりこのような競技人口となっているようです。
伝えるということは、喜びや楽しさがあって初めて相手に伝わるのであり、逆にそれ以外の方法で仮に伝わったとしても、永続的な繋がりにはならずコマ切れになってしまうのでしょう。
子供たちには、柔道の喜びと楽しさをなるべくたくさん伝える努力を重ねていきたいと思います。
稽古内容
9月3日(火)稽古内容
指導者 久木田
生徒 拳心
心春
敦彦
大史
圭吾
真生
優真
悠
準備運動
稽古予備運動
寝技 3分×6本
打込み 10本×10
乱取 2分×6本
サーキットトレーニング 10秒×6×1セット
背筋、腹筋、バービージャンプ、反復横跳び
腕立て伏せ、バービージャンプ
⚪︎敦彦 動くところと止まるところのスピードのメリハリをつけることを意識する。
⚪︎拳心 組み手の際終始力が入っているので、技に入る瞬間に力を入れられるようあえて力を抜くことを指導。
⚪︎心春 技の入り方や身体の動かし方をまだ取り戻せていないので、あせらずにゆっくり取り組んでいきたい。
⚪︎圭吾 上半身に力みがあるため技の入り方やスピードがいまいち出せていない。力を抜きながらもしっかりと組み手が出来るように、掴み方や腕の動かし方を指導。
⚪︎大史 顔や目線が下に向きがちになるので、相手の顔や前を向く意識を。引き手の崩しがほとんど出来ていないので、技に威力がない。引き手の使い方を繰り返し指導。
⚪︎真生 身体の強さが出てきたようだ。背負いの打ち込みで敦彦を担いでいた。
⚪︎優真 全体の稽古についてこれる体力が徐々に付きつつある。
⚪︎悠 立位の礼、座位の礼、受け身の練習を行う。
●父親と幼児(5歳)が見学に。父親は中学の部活で三年間柔道の経験あり。
●新入団の子供に中学生や上級生が率先して面倒をみたり、気付いたことを教えたりして欲しい。
他人を世話したり指導することが一番の自分の学びになる。